著作紹介【ポジティブ思考ではなぜ成功できないのか?】

内容紹介(本書「はじめに」より転載)

ポジティブ思考を礼賛する人たちの言葉に誘われて、私は過去に何回も、懸命にポジティブ思考をしようと試みたことがありました。しかし、はじめは何となくうまくいくものの、そのうちにうまくいかなくなるのです。うまくいかないときは、ポジティブ思考で人生が好転するどころではなく、かえってよくない方向に転がりはじ始めることもありました。

いったいどうしてなのだろうと疑問に思いつつも、うまくいかないのだからやめておこうと自然体に戻ると、今度は物事が徐々に好転しはじ始めるのです。

その謎が解け、私の目から鱗が落ちたのは、一昨年、アメリカの神経心理学者ポール・ピアソール博士の本『ザ・ラスト・セルフヘルプ・ブック』(邦訳『負ける! やめる! あきらめる!』光文社)を読んだときです。何度も何度も読み返し、私のいままでの考え方の浅薄さに気づきました。それまでの私は、結局のところ自己啓発本や成功本に説かれている「ポジティブ信仰」に惑わされていたにすぎなかったのです。

時を前後して、ロシアの元量子物理学者ヴァジム・ゼランド氏のベストセラー『リアリティ・トランサーフィン』シリーズ(徳間書店)の翻訳を監修しはじめていたことも、私の 〝気づき〟 を助けてくれました。彼はそのシリーズ本の随所で、あることに重要性を与えると、心が力んだ一種の硬直状態が生まれ、かえって目的の達成ができなくなると主張しています。つまり、ポジティブであることに過度な重要性を与えると、かえってポジティブにはなれないということです。だから私の場合は、無理してポジティブになろうとしてはいけなかったのです。

多くの人たちは、自分はもっとポジティブに、もっと前向きに生きていかなければと思っていることでしょう。自分にネガティブな傾向があり、ともすると落ちこ込んで、悲観的になることに気づいている人は、なおさらかもしれません。「これじゃだめだ。もっとポジティブにならなきゃ!」。スピリチュアルで、自分を変えようという純粋な心のもち主ほど、自分の心を叱咤激励して、がんば頑張ろうとするに違いありません。

しかし、ちょっと待ってください。ピアソール博士やゼランド氏の主張はさておき、そもそもポジティブとは、いったいどういうことなのでしょう。心を前向きに保っていること、あるいは前向きに物事を考えることがポジティブなのだとすれば、そのような姿勢でいなさいとする 〝教え〟 は、一律にすべての人に対して有効なのでしょうか。

第一部では、ポジティブとはどういうことなのかをできるだけ科学的に、しかも徹底的に追究してみました。著名なアメリカの心理学者セリグマン博士が提唱するポジティブ心理学や、あえてネガティブであるほうがうまくいくと主張する心理学者の言い分も紹介します。また、四つのタイプに応じた人生の心理作戦も紹介しました。「自己ハンディ作戦」「回避作戦」「戦略的楽観作戦」「防衛的悲観作戦」です。あなたはこの四つの心理作戦のうち、どれを採用しているでしょう。きっとどれかに当てはまるはずです。

第二部では、おも主にポール・ピアソール博士の研究に焦点を当てます。そのひとつに、こんなものがあります。社会的(金銭的・名誉的)に大きな成功を収めた人のほとんどが、心の底では幸せを感じていない、彼らは 〝成功中毒〟 に陥っているというのです。

自己啓発とは、一般的には自分自身の能力を高め、成功に向かわせることといわれます。しかし、そこにはどのような意味があるのでしょう。本章ではいわゆる自己啓発書で定説のごとくいわれている多くの信条について、その根拠がきわめてあいまいであることを指摘していきます。

また、よくいわれる「引き寄せの法則」や、この法則のもととなっているといわれる宇宙の秘密「ザ・シークレット」とは本当のことなのか、最新科学でこれらを解くことができるとすれば、どう解いたらよいのかなどについて、私の考え方を紹介します。

私たちがスピリチュアルに成長し、真の意味で幸せになるためにはポジティブ思考や一般的な自己啓発よりも、もっと大切なことがあります。それは「マインドフルな(柔らかな心をもった)」心の姿勢です。この考え方をはじめて心理学的に考察したエレン・ランガー博士や、同じような考え方をする科学者の提案するマインドフルな生き方を第三部で紹介します。そして、マインドフルに生きるためにはどうすればよいのかについて、私の考え方を述べていきます。

本書は、たんなる単なるポジティブ思考礼賛の書でも、否定の書でもありません。あえていえば、それらを超えていかに「マインドフル」に生きていくかを模索する書です。

冒頭の「ポジティブ度チェックテスト」を含め、本書の中にはいくつかの自己判定テストを織りまぜています。気軽に自分自身の状態をチェックして、理解を深めていただければと思います。そして、より深いスピリチュアルな幸せへ続く人生を歩まれることを願ってやみません。

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