せみしぐれを全身に浴びて
僕はこの石段を登りたかった
急角度で大空へつづく苔むした石段
僕はここへ来て
空を目指して登りたかった
疲れたら休めばいい
香気を吸って休めばいい
そしてふたたび登るのだ
決して振り返る気にはならない
そんな精気あふれる樹木のただなかで
せみしぐれは止まない
この星のすべての命は
愛の波動につつまれているから
ただそれだけのことに感動しながら
僕はこの石段を登りつめ
行き着くところまで 行きたかった
[この詩は喰代栄一の作品です]